【塩は入れないといけない?】パン作りの基本の材料 塩編 その1

2021年5月14日

パンのレシピには必ず塩があります。

塩は絶対入れないといけないのでしょうか。

答えは、入れなくてもパンは作れますが、味がかなり劣ります。

「塩が入っていないパンは不味くて食べられない」とよく聞くくらい、物足りない味のパンができてしまいます。

塩は入れる分量は少量ですが、パンを作るうえでとても重要な役割を果たします。

味を調える

パンのおいしさを引き出し、風味を与えます。塩が味を決定づける大切な役割を担っています。

昔シェフの方とお話をした時に、「味見をして何か物足りないと思ったら塩を足してごらん」と言われたことがあります。料理でも塩が決め手なんです。

 

グルテンを強化する

小麦粉から生成されるグルテンを適度に引き締め、グルテンの粘りと弾力を強固にします。

そうすることにより、発酵中に出るガスをきちんと保持し、焼き上がりがきめ細やかでボリュームのあるパンに仕上がります。

 

イーストの働きを遅らせる

塩が持つ吸湿性により、生地中の水分を引き寄せるので、水分が必要なイーストの活動を遅らせます。

発酵の速度がゆるくなるため、パンの焼き上がりがしっとりとします。

しかしだからと言って多く配合すると、イーストの活動が緩みすぎてボリュームのないパンが出来上がります。

雑菌・防腐作用がある

塩には細胞内の水を吸い取る役割(浸透圧)があります。

お風呂に入っていると手がふやけていきますよね。手の表面にある角層が水分を吸ってしわしわになります。これと同じことが生地中で起こるのです。水を吸い取られた生地のなかでは菌は生きていけないのです。菌自体も細胞内から水分が吸い取られてしまいます。

また水分活性により塩と結合した水分子は菌にとっては利用できない水となります。

食料を長期保存するために塩漬けが昔からあるように、塩には日持ちを良くする効果があります。

これらの理由により塩が欠かせないことが分かります。

もし塩を入れ忘れてしまった場合、シンプルな生地であれば塩味の強いものをのせて食べたり、総菜パンのように具材の味が濃いものをのせて食べるといいと思います。